
前回、障害福祉サービスの急激な費用増加に伴う「令和8年度の臨時応急的な対応案」の全体像をお伝えしました。今回はその続報として、事業者の皆様の経営に直結する「報酬改定」の具体的な中身を詳しく深掘りします。
今回の改定は、定期改定を待たずに行われる異例の措置であり、特に就労系・共同生活援助・児発・放デイの事業所様は早めのシミュレーションが必要です。
一般就労への定着を評価するこの加算について、離転職を繰り返して加算を繰り返し取得する事例を受け、算定ルールが厳格化されます。
・算定上限の設定:
1事業所が年間で算定できる就職者数に、原則として「利用定員数まで」という上限が設けられます。
・3年以内の実績チェック:
過去3年間に他事業所で算定実績がある利用者については、原則として算定不可となります。
・例外措置:
ハラスメントなど、やむを得ない事情で退職したと市町村長が認める場合は、この制限の対象外となります。
令和6年度の計算方式変更により、全国の平均工賃月額が約6,000円上昇しました。これに伴い、現状のままでは想定以上に高い報酬区分に該当する事業所が増えすぎるため、基準の適正化が行われます。
・境界線の3,000円引き上げ:
各報酬区分の境界となる平均工賃月額の基準を、上昇幅の半分である3,000円引き上げます。
・激変緩和措置:
ニーズ調査なしの参入や収益率の高さが指摘されている特定のサービスについて、新規指定を受ける事業所のみ基本報酬が調整されます。
・対象サービス:
就労継続支援B型、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)、児童発達支 援、放課後等デイサービス
・調整幅:
基本報酬単価に対し、▲1%強〜▲3%弱程度の特例単価が適用されます。
・適用除外(配慮措置):
以下のケースは、ニーズが高い・不足している地域として従来の報酬単価が適用されます。
◦重度障害児者への対応:
強度行動障害、医療的ケア児、重症心身障害児、視覚・聴覚障害者などへの加算評価を受けている場合。
◦地域への配慮:
離島・中山間地域や、自治体が公募等で客観的に必要と認めた場合。
今回の「臨時応急的な対応」は、令和9年度の本格的な報酬改定までの「暫定措置」という位置づけです。しかし、新規参入の引き下げや就労継続支援B型の基準変更は、収支計画に大きな影響を与えます。
特にこれから新規開設を検討されている方は、「重度障害児者の受け入れ」や「自治体の公募案件」など、減額の対象外となる要件をあらかじめ検討しておくことも必要となってくるのではないでしょうか。
次回は、同資料で示された「指定就労継続支援事業所に関するガイドライン」について、自治体の審査がどう変わるのかを解説します。