障がい福祉において、企業等への一般就労を継続的に実現することは極めて重要です。「就労移行支援体制加算」は、事業所が就労定着支援まで一貫して取り組んでいるかを評価する制度であり、質の高い支援体制の構築を促進します。本記事では、その算定要件と実務上の留意点をわかりやすく解説します。
一般企業等への就労後、6ヶ月以上継続して働いている利用者(就労定着者)が前年度に1人以上いる場合に、事業所が算定できる加算です。これは、事業所が就労定着に向けた支援体制を構築・実施していることを評価する仕組みです。
※本記事では就労継続支援A型、B型について解説します。
就労移行支援体制加算(Ⅰ)、(Ⅱ)に分類されます。
就労継続支援A型サービス費Ⅰ(従業者配置7.5:1)を算定している就労継続支援A型事業所において、前年度に就労継続支援A型等のサービスを受けた後に一般就労し、6ヶ月以上継続して勤務している者が1名以上いる場合、当該事業所は、評価点に応じた所定単位数に、当該実績人数を乗じた単位数を加算することができます。(前年度実績には就労継続支援A型事業所への就職は除く)
就労継続支援A型サービス費Ⅱ(従業者配置10:1)を算定している就労継続支援A型事業において、前年度に就労継続支援A型等のサービスを受けた後に一般就労し、6ヶ月以上継続して勤務している者が1名以上いる場合、当該事業所は、評価点に応じた所定単位数に、当該実績人数を乗じた単位数を加算することができます。(前年度実績には就労継続支援A型事業所への就職は除く)
就労移行支援体制加算(Ⅰ)~(Ⅳ)に分類されます。
就労継続支援B型サービス費Ⅰ(従業者配置6:1)又は就労継続支援B型サービス費Ⅱ(従業者配置7.5:1)を算定している就労継続支援B型事業において、前年度に就労継続支援B型等のサービスを受けた後に一般就労し、6ヶ月以上継続して勤務している者が1名以上いる場合、当該事業所は、平均工賃月額に応じた所定単位数に、前年度の実績人数を乗じた単位数を加算することができます。(前年度実績には就労継続支援A型事業所への就職は除く)
就労継続支援B型サービス費Ⅲ(従業者配置10:1)を算定している就労継続支援B型事業所において、前年度に就労継続支援B型等のサービスを受けた後に一般就労し、6ヶ月以上継続して勤務している者が1名以上いる場合、当該事業所は、平均工賃月額に応じた所定単位数に、前年度の実績人数を乗じた単位数を加算することができます。(前年度実績には就労継続支援A型事業所への就職は除く)
就労継続支援B型サービス費Ⅳ(従業者配置6:1)又は就労継続支援B型サービス費Ⅴ(従業者配置7.5:1)を算定している就労継続支援B型において、前年度に就労継続支援B型等のサービスを利用した後に一般就労し、6ヶ月以上継続して勤務している者が1名以上いる場合、当該事業所は、所定単位数に前年度の実績人数を乗じた単位数を加算することができます。(前年度実績には就労継続支援A型事業所への就職は除く)
就労継続支援B型サービス費Ⅵ(従業者配置10:1)を算定している就労継続支援B型において、前年度に就労継続支援B型等のサービスを利用した後に一般就労し、6ヶ月以上継続して勤務している者が1名以上いる場合、当該事業所は、所定単位数に前年度の実績人数を乗じた単位数を加算することができます。(前年度実績には就労継続支援A型事業所への就職は除く)
〈前提条件〉
65単位×10.96円×1名×16名×20日= 227,136円/月×12か月= 2,725,632円/年
前年度就労定着者が2名の場合は、227,136円×2名=454,272円/月×12か月=5,451,264円/年
就労移行支援体制加算は、障がい者の一般就労および継続的な職場定着を支援した実績に対して評価される制度です。前年度に6か月以上の雇用継続者(就労定着者)が1名以上いる場合、翌年度は利用者全員に対して加算を適用できます。
定着者数が増えるほど加算額も比例して増加するため、質の高い継続支援への取り組みは、事業所の安定収益の確保にもつながります。