障がい福祉サービスにおける「訪問支援特別加算」は、支援の継続性や生活の安定を図るうえで重要な加算です。本記事では、その制度概要や算定要件をわかりやすく解説します。


訪問支援特別加算とは?

継続して事業所を利用する利用者が連続して5日間利用しなかったときに、職員が居宅を訪問して相談支援を行った場合に算定できる加算です。


対象サービス

生活介護、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型


加算単位

(1)1時間未満  187単位/回(月2回を限度)
(2)1時間以上  280単位/回(月2回を限度)


加算要件

以下のいずれも満たしている場合に算定できます。

    ・概ね3か月以上継続して事業所を利用していた利用者が、5日間以上連続して利用していない場合
    ・個別支援計画に基づき、事前に利用者の同意を得た上で、以下のような相談支援を実施した場合


    • 家族等との連絡調整
    • 利用継続に向けた働きかけ
    • 個別支援計画の見直し など


留意点

    ・「5日間」とは、利用者に係る利用予定日にかかわらず、事業所の開所日ベースで連続した5日間を指します。
    ・所要時間は、実際の訪問に要した時間ではなく、指定事業を実施するために必要な標準的な時間に基づいて算定されます。
    ・月2回まで加算を算定できますが、2回目の算定には、加算算定後または事業所の利用後に、再度5日間以上連続して事業所の利用がないことが必要です。


【就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型における留意点】

通常の事業所に雇用されている利用者が、労働時間の延長や休職からの復職に際し、就労に必要な知識・能力の向上を目的として一時的な支援を必要とする場合には、連続した5日間、事業所の利用がなくても、居宅訪問による相談援助の必要性が低いケースも想定されます。このような場合においても、市町村が居宅訪問の必要性を確認できるよう、相談援助を実施する際には、利用者の状況や相談援助の内容などを記録しておく必要があります。


まとめ

訪問支援特別加算は、障がい福祉サービスの継続的支援を促進する制度であり、算定には一定の条件を満たす必要があります。特に就労系サービスでは、訪問支援の必要性が状況により異なるため、相談援助の記録が市町村確認の根拠となります。加算の適正な運用には、事業所による支援内容の明確化と、制度趣旨に即した記録管理が求められます。