障がい福祉サービスにおける「地域生活移行個別支援特別加算」は、医療観察法対象者や矯正施設退所者の地域定着を支援するための重要な制度です。グループホーム等での個別支援を評価するこの加算は、制度の理解と現場での実践力が問われます。
本記事では、加算の概要、対象者、算定要件、支援体制の整備など、実務に役立つポイントをわかりやすく解説します。
医療観察法に基づく通院医療の利用者、刑務所出所者等に対して、地域で生活するために必要な相談援助や個別支援等を行った場合に3年以内の期間において算定できる加算です。
重度障がい者等包括支援(共同生活援助のみ対象)、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(生活訓練)※宿泊型のみ
重度障がい者等包括支援(共同生活援助のみ対象)、共同生活援助、自立訓練(生活訓練)※宿泊型のみ
670単位/日
施設入所支援
地域生活移行個別支援特別加算Ⅰ 12単位/日(体制加算)
地域生活移行個別支援特別加算Ⅱ 306単位/日(3年以内、個人加算)
・指定基準上事業所に置くべき職員に加え、適切な支援を行うために必要な数の世話人又は生活支援員を配置することが可能であること。
・社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師の資格を有する者を事業所に配置し、当該資格を有する者による指導体制が整えられていること。
・事業所の従業員に対し、入院によらない医療を受けている者又は刑事施設若しくは少年院を釈放された障害者の支援に関する研修が年一回以上行われていること。
・保護観察所、更生保護施設、指定医療機関又は精神保健福祉センターその他関係機関との協力体制が整えられていること。
※本記事では「施設入所支援」に関する加算要件の解説は含めておりません。
対象者の要件
以下のいずれかに該当する方が、指定事業所等の利用対象となります:
・医療観察法に基づく通院・退院許可を受けてから3年以内の方(通院期間が延長された場合は、その延長期間まで対象)
・矯正施設や更生保護施設を退所してから3年以内の方で、保護観察所や地域生活定着支援センターとの調整により、指定事業所の利用が決まった方。
※退所後に一度居宅で生活した場合でも、その後3年以内に指定事業所の利用が始まり、必要と認められた期間であれば、加算の対象となります。
施設要件
加算を受けるためには、以下のような支援体制と職員研修が整っていることが求められます。
人員配置と支援体制
・指定基準で定められた職員数に加えて、加算対象者の支援に必要な数の人員を確保できること。
・有資格者による指導・連携体制が整っており、対象者に対して適切な支援が可能であること。
関係機関との協議
職員研修の実施
事業所の職員全員を対象に、以下の内容を含む研修を行うこと:
・加算対象者の特性や課題の理解
・課題に応じた支援方法
・関係機関との連携
研修方法の例:
支援内容
加算の対象となる事業所については、以下の支援を行うものとする。
・犯罪に至った背景を把握し、再犯防止に向けた支援計画を作成
・医療機関や保護観察所などとの連携・調整
・日常生活や人間関係への助言
・通院支援(医療観察法に基づく対象者)
・日中活動の場における緊急時の対
・その他必要な支援の提供
障がい福祉サービスにおける「地域生活移行個別支援特別加算」は、地域定着支援の質を高めるための重要な加算です。算定には、加算要件の理解、支援体制の整備、職員研修、関係機関との連携が不可欠です。本記事では制度の概要と実務ポイントを整理しました。加算の活用に向けて、支援体制の見直しや準備の参考にしていただければ幸いです。