障がい福祉サービスにおいて、医療的ケアが必要な利用者への支援体制の整備は、事業所運営における重要な課題のひとつです。令和6年度の報酬改定により導入された「医療的ケア対応支援加算」は、看護職員の配置によって算定可能な加算制度であり、共同生活援助(グループホーム)や短期入所事業所での活用が広がっています。この記事では、加算の算定要件や実務上の注意点について、わかりやすく解説します。
看護職員を加配している事業所において、医療的ケアが必要な者に対してサービス提供を行った場合に算定できる加算です。
医療的ケアとは?
障がい福祉における医療的ケアとは、医療機関以外の場所で日常的に行われる医療的な援助行為を指します。これは、医師による診断や治療といった「医行為」とは区別されており、一定の条件のもとで、医師以外の者(看護師、研修を受けた介護職員、家族など)によって実施することが可能です。
短期入所、共同生活援助
120単位/日
指定基準の従業者に加えて、看護職員を常勤換算で1名以上配置した旨を届け出た事業所が、厚生労働大臣が定める対象者に共同生活援助等を行った場合
※本記事では共同生活援助の要件・留意点について解説します。
1.人口呼吸器
2.気管切開の管理
3.鼻咽頭エアウェイの管理
4.酸素療法
5.吸引
6.ネプライザーの管理
7.経管栄養
8.中心静脈カテーテルの管理
9.皮下注射
10.血糖測定
11.継続的な透析
12.導尿
13.排便管理
14.痙攣時における座薬納入、吸引、酸素投与、迷走神経刺激装置の作動等の処置
医療的ケア対応支援加算の取得は、障がい福祉サービス事業所の支援体制を強化するだけでなく、利用者やご家族からの信頼にもつながります。看護職員の配置や医療的ケアへの対応力は、事業所のサービス品質を高める重要な要素です。制度の要件を正しく理解し、加算取得に向けた準備を進めることで、より安心・安全な支援の提供が可能となります。