障がい福祉サービス事業所の運営において、サービス管理責任者(サビ管)の配置は制度上の義務であると同時に、報酬算定にも直結する重要な要素です。万が一サビ管が欠如した場合、一定期間を超えると基本報酬の減算が適用され、事業所の経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。本記事では、欠如減算の制度概要と適用条件、みなし配置制度など、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。


サービス管理責任者欠如減算とは?

 指定基準に定めるサービス管理責任者の人員基準を満たしていない場合、その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月までの間、基本報酬から減算されます。


例:6/10にサービス管理責任者の欠如が発生し、1/10にサービス管理責任者を配置した場合。


サービス管理責任者とは?

 サービス管理責任者とは、障がい福祉サービス事業所において、サービスの質を確保・向上させるために配置が義務付けられている専門職です。主な役割は、利用者ごとのアセスメントや個別支援計画の作成、定期的な評価など、サービス提供プロセス全体の管理を担うことに加え、他の職員への指導・助言を行うことです。事業所運営の中核を担う存在であり、高い専門性と豊富な実務経験が求められます。

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対象サービス

療養介護、生活介護、短期入所、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助


減算単位


※利用者全員が対象となります。

減算要件

指定基準に定めるサービス管理責任者の人員基準を満たしていない場合。
(具体例)

  • サービス管理責任者が退職し、その後配置されていない。
  • サービス管理責任者が資格要件を満たしていなかった。 など


サービス管理責任者のみなし配置

 事業所に配置しているサービス管理責任者が、自治体により「やむを得ない事由による欠如」と認められた場合に限り、誓約書の提出をもって「変更日から1年以内に要件を満たす者を配置する」ことを条件に、実務経験要件を満たす職員を暫定的に配置することが可能です(以下「みなし配置期間」といいます)。
やむを得ない事由とは

  • 急死・事故・急病などにより勤務不可となった場合
  • 急な退職(法人が予見できなかったと認められる場合)など

 ※人事異動や定年退職など、予見可能な事由は対象外です。
 ※退職までに30日以上の猶予があった場合も対象外となります。


みなし配置期間の延長について

 以下の①〜③すべてを満たす場合、最大2年間の配置が可能です:

  1. 実務経験(相談支援または直接支援業務)3〜8年
  2. 欠如時点で基礎研修・初任者研修(講義部分)修了済
  3. 欠如前から継続して当該事業所に配置されている

 ※上記を満たさない場合は、みなし配置は原則1年間までです。


まとめ

 サービス管理責任者が欠如すると、障がい福祉サービスの報酬が減算され、事業所の収益に大きな影響を及ぼします。特に欠如が長期化した場合は、経営そのものに深刻な影響を及ぼす可能性があるため、十分な注意が必要です。みなし配置制度が認められるケースもありますが、これは自治体が「やむを得ない事由」と判断した場合に限られ、すべての状況で適用されるわけではありません。まずは欠如を未然に防ぐ体制づくりが何より重要です。