障がい福祉サービス事業所では、利用者数が定員を超えた場合に「定員超過利用減算」が適用され、報酬が減額される制度が設けられています。これは、サービスの質と安全性を確保するための仕組みであり、事業所運営において重要な管理項目のひとつです。本記事では、制度の概要や減算の判定基準について、事業所が押さえておくべき実務ポイントをわかりやすく解説します。
定員超過利用減算は、障害福祉サービス事業所が定員を超えて利用者を受け入れた場合に報酬が減算される制度です。
療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型
定員50人以下の事業所
1日の利用者数が利用定員の150%を超えた場合
→ 当該日の利用者全員について基本報酬を減算
定員51人以上の事業所
1日の利用者数が、「(定員−50)×125%+75」を超えた場合
→ 当該日の利用者全員について基本報酬を減算
直近の過去3か月間の延べ利用者数が、「利用定員 × 開所日数 × 125%」を超えた場合
→ 当該1か月間の利用者全員について減算を行う。
※定員11人以下の事業所
過去3か月間の延べ利用者数が、「(利用定員+3) × 開所日数」を超えた場合
→ 当該1か月間の利用者全員について減算を行う。
多機能型事業所等における「1日当たりの利用実績」および「過去3か月間の利用実績」に基づく定員超過利用減算については、事業所が提供する複数のサービスまたは昼間実施サービスごとに、利用定員を超える受入れ可能人数を算出す必要があります。
※療養介護、短期入所、施設入所支援は上記の判定基準と異なります。
定員超過利用減算は、障がい福祉サービス事業所の報酬に直接影響する制度であり、定員管理の不備が減算や行政指導、指定取消しにつながる可能性もあります。制度の趣旨は、サービスの質と安全性を守ることにあり、事業所にはその責任が求められます。日々の利用実績を正確に把握し、基準に沿った運営を徹底することが安定した事業継続につながります。