令和6年の障害福祉サービス報酬改定により、「業務継続計画(BCP)未策定減算」が新たに導入されました。感染症や自然災害への備えとして、事業所に業務継続計画(BCP)の策定が義務化され、未対応の場合は基本報酬が減算されます。
本記事では、業務継続計画(BCP)未策定減算の概要、対象サービス、減算率、適用方法などをわかりやすく解説します。


業務継続計画未策定減算とは?

 感染症または非常災害に備えた業務継続計画(BCP)が未策定の場合、基本報酬の所定単位数から一定割合が減算される制度です。


業務継続計画(BCP)とは?
 業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)とは、災害や感染症などの緊急事態が発生した際でも、事業の中核機能を維持・早期復旧できるようにするための計画です。障害福祉サービスにおいては、利用者の安全とサービス提供の継続を確保するため、特に重要な位置づけとなっています。

対象サービス

全てのサービス


減算単位


※就労選択支援については、令和9年4月1日から適用となります。


減算要件

  • 業務継続計画を策定していない。
  • 業務継続計画に従い必要な措置を講じていない。

 減算期間:その翌月から基準に満たない状況が解消されるに至った月まで


留意点

  • 減算の対象となる単位数は、加算前の「基本報酬の所定単位数」であり、加算込みの合計単位数に対して1%を引くわけではありません。
  • 複数の減算がある場合は、まず各減算を適用した後の「減算後基本報酬所定単位数」に対して1%を算出し、その分をさらに減算します。
  • 以下の経過措置はすでに終了しています。現在は減算対象となるため、業務継続計画(BCP)の策定が必須です。

 令和7年3月31日までの間、「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」及び「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合には、当該減算を適用しない。ただし、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、自立生活援助、就労定着支援、計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援については、「非常災害に関する具体的計画」の策定が求められていないことを踏まえ、令和7年3月31日までの間、当該減算を適用しない。


まとめ

 障害福祉サービス事業所にとって、業務継続計画(BCP)の策定は報酬減算を防ぐための必須対応です。2024年度の改定で制度化された業務継続計画(BCP)未策定減算は、感染症や災害への備えを求めるもので、未対応の場合は基本報酬が減額されます。制度の内容を正しく理解し、BCPの整備と実効性ある運用を進めることが、安定した事業継続につながります。