
令和6年度の報酬改定により、すべての障がい福祉サービス事業所に「虐待防止措置未実施減算」が新たに導入されました。これは、虐待防止委員会の開催や研修の実施など、基本的な体制整備が不十分な場合に、基本報酬から1%減算される制度です。本記事では、減算対象となる要件や単位などについてわかりやすく解説します。
虐待防止措置未実施減算とは、障がい福祉サービス事業所が、虐待防止のために義務付けられた措置を実施していない場合に、基本報酬から1%が減算される制度です。
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基本報酬の1%を減算
期間:減算対象に該当する事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間
次の1~3のいずれかに該当する場合、減算の対象となります。
1.虐待防止委員会を1 年に 1 回以上開催していない。
・委員会は事業所単位でなく、法人単位での設置・開催も可能。
・身体拘束適正化検討委員会と一体的に設置・運営することも認められる。
・テレビ電話等のICT機器を活用した開催も可能。
ただし、障がいのある者が参加する場合は、その特性に応じた配慮を行うこと。
・個人情報の取扱いについては、個人情報保護委員会のガイドライン等を遵守すること。
2.虐待の防止のための研修を1 年に 1 回以上実施していない。
3.虐待防止措置を適切に実施するための担当者を配置していない。
障がい福祉サービス事業所等において、利用者への虐待を未然に防ぐために設置される委員会です。年1回以上の開催が義務付けられており、主な役割として、虐待防止のための計画策定、日常的なチェックとモニタリング、虐待発生時の検証および再発防止策の検討、職員への周知・研修などを担います。
障がい福祉サービス事業所等において、利用者の権利擁護と尊厳保持を目的に設置される委員会です。年1回以上の開催が求められ、主な役割として、身体拘束等の適正化のための指針を整備し、対策を検討するとともに、その結果を職員に周知徹底するほか、拘束事例の検証や再発防止策の検討、モニタリング、職員研修などを担います。
虐待防止措置未実施減算は、報酬への影響だけでなく、事業所の信頼性や職員の意識にも関わる重要な制度です。委員会の開催、研修の実施、担当者の配置は、形式的な対応ではなく、実効性ある体制づくりが求められます。記録の整備や職員への周知を徹底し、日常業務の中で虐待防止の意識を根付かせることが、減算回避と質の高い支援の両立につながります。