障がい福祉サービスの報酬算定には、利用期間に応じた減算規定が設けられています。なかでも「標準利用期間超過減算」は、就労移行支援など長期利用が想定されるサービスにおいて、適用される減算制度です。本記事では、その概要と算定方法を整理します。


標準利用期間超過減算とは?

利用者の平均利用期間が標準利用期間+6か月を超過した場合に、基本報酬が減算される制度です。


対象サービス

自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、自立生活援助


減算単位

所定単位数の95%を算定(5%の減算)


算定要件

利用者の平均利用期間が標準利用期間+6か月を超過した場合
「標準利用期間 + 6か月」は具体的に次の通りです。

サービス名 標準利用期間 減算対象となる期間
自立訓練(機能訓練) 18ヶ月 24ヶ月
自立訓練(生活訓練) 24ヶ月 30ヶ月
就労移行支援 24ヶ月 30ヶ月
就労移行支援(養成型) 36ヶ月 or 60ヶ月 42ヶ月 or 66ヶ月
自立生活援助 12ヶ月 18ヶ月


平均利用時間の算定について

  • サービスの利用開始から1年を経過していない方は、対象外とします。

    ・利用者ごとの利用期間は、以下のとおり算定します。

      ・サービス利用開始日から各月末日までの月数を算出します。この際、利用開始日が月初(1日)の場合は当月を含め、2日以降の場合 は翌月から起算します。
      ・標準利用期間が36か月とされる自立訓練(機能訓練)の利用者(頸髄損傷による四肢の麻痺その他
        これに類する状態にある障害者)については、上記で算出した期間を1.75で割った期間とします。
      ・標準利用期間が36か月とされる自立訓練(生活訓練)の利用者(長期間入院していたその他これに
        類する事由のある障害者)については、上記で算出した期間を1.4で割った期間とします。

    ・就労移行支援において、就労後に一時的な支援が必要となる場合は、改めて支給決定を行います。
      この際、サービス利用時間の算定にあたっては、従前の支給決定における利用期間とは通算しません。


留意点

    ・「所定単位数」は、各種加算を含む前の基本報酬単位数であり、加算を含めた合計単位数ではありません。


まとめ

 標準利用期間超過減算は、障がい福祉サービスの報酬算定において、長期利用者が多い事業所ほど影響を受けやすい制度です。特に就労移行支援や自立訓練(機能訓練・生活訓練)を提供する事業所では、平均利用期間の算定方法や減算要件を正しく理解しておくことが重要です。
 本記事では、標準利用期間の考え方、対象サービス、減算率、算定ルールについて整理しました。障がい福祉サービスの報酬制度は定期的に見直されるため、最新情報の把握と制度理解が事業運営の安定につながります。今後も報酬算定や制度改正に関する情報を随時発信していきますので、ぜひ参考にしてください。