障がいのある方が地域で安心して暮らし続けるためには、入院中の支援体制も欠かせません。特に、家族などによる支援が難しい場合には、障がい福祉サービス事業所による継続的な関わりが重要です。この記事では、共同生活援助等の事業所が入院中の利用者に対して行う支援に対し、報酬として評価される「長期入院時支援特別加算」について、制度の背景や算定要件、実務上のポイントをわかりやすく解説します。


長期入院時支援特別加算とは?

 長期入院時支援特別加算とは、利用者が入院した際に、概ね週に1回以上病院・診療所を訪問し、入院期間中の衣類の準備や相談支援など、日常生活上の支援を行うとともに、退院後の円滑な生活移行を図るため、病院・診療所との連絡調整を実施した場合に算定される加算です。


対象サービス

自立訓練(生活訓練)、共同生活援助


加算単位


算定要件

 家族等による支援が困難な利用者が入院した場合に、事業所職員が病院または診療所を訪問し、衣類の準備や相談支援、連絡調整などを行った場合。


留意点

    ・入院の初日および最終日を除いた1か月の入院日数が2日を超える場合には、3日目以降の入院日について、1日ごとに所定の単位数を加算できます。ただし、継続して入院している場合でも、入院初日から起算して最大3か月間が加算の対象期間となります。
    ・原則として、週1回以上、病院または診療所を訪問する必要があります。訪問できない「特段の事情」がある場合には、その内容を記録しておく必要があります。
    ・入院2月目以降は、当月の3日目から加算の対象となります(1日目・2日目は対象外です)。
    ・訪問支援を行った場合には、支援内容を記録しておく必要があります。
    ・長期入院時支援特別加算は、入院時支援特別加算を算定している月には算定できません。ただし、1月目に入院時支援特別加算を算定している場合でも、2月目以降は長期入院時支援特別加算を算定することが可能です。
    ・長期入院時支援特別加算と長期帰宅時支援加算は、同一日に算定することができません。
    ・共同生活援助サービス費Ⅱ、日中サービス支援型共同生活援助サービス費Ⅱ、日中サービス支援型共同生活援助サービス費、または外部サービス利用型指定共同生活援助サービス費Ⅲを算定している利用者が、病院または入所施設に入院または入所している場合には、長期入院時支援特別加算を算定することはできません。


まとめ

 長期入院時支援特別加算は、家族等の支援が困難な利用者に対し、事業所職員が入院中の支援を継続的に行うことで算定される重要な加算です。訪問頻度や記録の管理、他加算との併用制限など、実務上の留意点を正しく理解することが、適切な運用と報酬算定につながります。制度を正しく活用することで、入院中も切れ目のない支援を提供することが可能になります。